政治家の犯罪で繰り広げられる検察との攻防

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政治家の犯罪で繰り広げられる検察との攻防

政治家の逮捕

政治家が犯罪をおかしたと聞いても、最近はあまり驚かないようになりました。

 

実際、収賄罪のほかいろいろな犯罪で政治家が逮捕され、有罪判決を受けたというニュースをしばしば耳にします。

 

政治家が法廷で裁かれた事件としては、少々古くなりますが、何といってもロッキード事件が衝撃的でした。

 

この事件では、元首相の五億円の収受が受託収賄罪にあたるのか否かが争われ、第一審の東京地方裁判所は、昭和58年10月、元首相に対して懲役4年、追徴金5億円の実刑判決を言い渡しました。そして、昭和62年7月29日、東京高等裁判所は、元首相の控訴を棄却しました。

 

 

最高権力者であっても法に違反すれば処罰されるのは、法治国家ではあたりまえのことではありますが、現実に元首相が有罪判決を言い渡されたのを聞いて、司法が健全に機能していることに安堵感を覚えた方も少なくなかったものと思います。

 

 

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指揮権発動

しかし、古くから、政治家に対する捜査には、政治的圧力という目に見えない化け物が潜んでいます。この化け物は、指揮権発動という衣装をまとって表舞台に登場することがあります。いわゆる造船疑獄事件がその例です。

 

 

造船疑獄事件は、戦争で大打撃を受けた海運業界を復興させるため、国が巨額の補助金を融資し、計画造船を行っていたところ、この割当てをめぐって海運業者が巨額の運動費を政官界にばらまいたとされる事件です。

 

 

この事件では、検察が次々に関係者を逮捕し、いよいよ捜査の手は当時の自由党幹事長の佐藤栄作と、政調会長の池田勇人にまで及ぼうとしていました。そして、検察は、まず佐藤栄作の逮捕を犬養法務大臣に求めました。しかし、犬養法務大臣が指揮権を発動したため、その逮捕は結局実現しませんでした。

 

 

 

検察庁法一四条には、「法務大臣は、第四条(検察官の職務)及び第六条(犯罪の捜査)に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般的に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」と書かれています。これが法務大臣の指揮権の根拠です。

 

 

検察権は行政権に属しますから、法務省のトップである法務大臣は、検察事務に関して検察官を一般的に指揮・監督することができます。しかし、検察事務は司法的な性格をもっていますから、時の政治的圧力からの不当な干渉を排除すべき要請もあります。

 

 

そこで、法務大臣は、検察官を一般的に指揮・監督することができる反面、個々の事件の取調べや処分については、検察のトップである検事総長を指揮することができるだけである、としたのです。

 

これによって、検事総長の判断に基づく調整が期待されているわけです。もっとも、この規定は、検察が政治的圧力という外圧に寄り切られてしまう道筋を作り出しているともいえます。

 

 

 

政治的圧力と検察

こうした指揮権発動といった異常事態に至らなくても、検察が諸般の事情を考慮して、政治家の捜査をみずから断念することがあります。

 

いわゆる佐川急便事件で、金丸信代議士が五億円の献金を受けたとされる問題について、検察は、金丸代議士の事情聴取を省略し、罪の軽い政治資金規正法違反での略式起訴(公判を開かず書面審理で刑を言い渡す簡易な手続き)にとどめましたが、こうした検察のやり方に対して、世論は猛反発しました。

 

 

検察の威信は失墜し、検察庁の建物にはペンキが投げつけられました。

 

検察が今後、国民の信頼を回復するためには、政治的圧力という目に見えない化け物を振り払い、政治家に対しても毅然とした態度をとり続けることが必要です。

 

 

検察の弱腰な態度は、単に悪徳政治家をのさばらせるだけでなく、世間一般に法を軽視する風潮を生み出す遠因ともなります。私たちが政治家の犯罪に関するニュースに接したときは、単に政治家の言動に注目するだけでなく、その背後で捜査の任にあたっている検察がきちんとみずからの職務を全うしているか否かを厳しくチェックする必要があります。

 

 

 

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