会社役員には恐怖の株主代表訴訟

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会社役員には恐怖の株主代表訴訟

株主代表訴訟とは

最近、新聞紙上で「株主代表訴訟」とか、単に「代表訴訟」といった活字をよく目にするようになりました。

 

株主代表訴訟とは、株式会社の役員が商法などの法令に違反するなどして、会社に対して損害を与えたにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合に、株主が会社に代わって、その役員に対して責任の追及をすることができるという制度です。

 

 

役員の責任は会社に対してのものですから、役員の責任を追及するのは、本来、会社自身です。しかし、会社にとって、役員個人はいわば身内の者ですから、会社が役員に対して厳しく責任を追及することはあまり期待できません。

 

そこで、株主が会社に代わって役員の責任を追及できるようにしたのが、株主代表訴訟なのです。

 

 

 

商法改正で訴訟件数増大

この株主代表訴訟制度は、実は、戦後まもない昭和25年に設けられたものでした。しかし、その後40年以上もの長い間、株主代表訴訟はほとんどおこされませんでした。

 

それは、株主が会社の経営に対してあまり関心をもたなかったこともその原因でしょうし、また、会社経営にとっていわば部外者である株主が株主代表訴訟をおこして会社を混乱させることは好ましくないといった考え方があったのも事実です。

 

 

さらに、株主代表訴訟の提起を躊躇させる現実的な要因として、その訴訟費用が安くなかったことが挙げられるでしょう。

 

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ところが、平成5年の商法改正によって、画期的な出来事が起こりました。株主代表訴訟の手数料を一律8200円の定額にしたのです。

 

従来は、請求する損害賠償額に応じて手数料の額が決まるしくみになっており、たとえば、何億円もの損害賠償金を請求するには、何百万円もの手数料を裁判所に納めなければなりませんでした。

 

しかし、平成5年の商法改正によって、どんなに高額な損害賠償金を請求する場合でも、株主代表訴訟では8200円の手数料で足りることになったわけです。

 

 

こうした改正の背景には、当時、証券会社の損失補填問題やいわゆるゼネコン汚職事件など企業の不祥事が相次いだため、株主代表訴訟を活用することによって、会社役員に反省を促し企業の不祥事を防ごうという狙いがありました。手数料を安くしたのは、株主代表訴訟を活性化させようという意図があったのです。

 

こうした意図はズバリ的中し、商法が改正された平成5年以降は、株主代表訴訟の件数が飛躍的に増大しました。

 

そして、単に件数が増大しただけではありません。手数料が安くなったために、巨額の損害賠償金を請求しやすくなりました。たとえば、日本航空事件では、なんと一兆円を超える損害賠償金が請求されました。

 

 

そして、株主代表訴訟が多数おこされるようになっただけでなく、裁判所も、株主代表訴訟において、会社役員敗訴の判決を出すようになったのです。こうした傾向は会社役員を震え上がらせました。

 

バブル景気の時には財テクに手を出す企業がたくさんありましたが、バブルの崩壊、株価の暴落によつて巨額の損害が会社に生じた例が少なくありませんでした。

 

こうした財テクについての責任を追及された日本サンライズ事件では、東京地方裁判所は、会社役員の責任を認める判決を言い渡しました。

 

また、自社株取得について会社役員の責任を肯定した三井鉱山事件判決は、会社役員に少なからぬ衝撃を与えました。

 

 

 

この事件では、会社役員が私利私欲のためではなく、会社のためを思って行ったことであっても、そして、事柄の性格上、絶対に許されないとは必ずしもいい切れないような微妙な問題であっても、法律に違反した以上、会社役員は責任をとらなければならないとされたのです。

 

 

たしかに、違法行為を行った会社役員が賠償責任を負うのはしかたがありません。そうかといって、株主代表訴訟を恐れて、会社役員が必要以上に萎縮してしまうこともまた問題です。

 

会社役員は法律を遵守して適正に職務を遂行しなければなりませんが、本来、会社経営にリスクはつきものですから、ぎりぎりの調整が必要な場面がどうしても生じてきます。その意味では、顧問弁護士や法務部等のスタッフの充実が今後ますます重要になってくるでしょう。

 

 

ところで、株主代表訴訟が多数提起されるようになってくると、なかにはこの制度を悪用した訴えも現れるようになってきました。こうした訴えへの対抗措置として、商法は、裁判所が原告の株主に対して担保の提供を命令することができると規定しています。

 

 

この命令が出されると、原告の株主は、命令に従って担保を提供するか、担保を用意するだけの資力がなければ訴えを取り下げざるを得ないことになります。

 

このような担保提供の制度を裁判所が適切に活用したため、株主代表訴訟が濫用されることは少なくなりました。

 

しかし、株主代表訴訟はこれからも頻繁に新聞紙上をにぎわすでしょう。残念ながら、それだけ企業の不祥事が多いということです。

 

 

今日のような現状では、株主代表訴訟を提起して会社役員の責任を厳しく追及し、会社役員の猛省と自覚を促す必要があります。

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