少額訴訟手続きのしくみ
少額訴訟手続きとは何か
たとえば、10万円の貸金をめぐってトラブルが発生した場合、裁判にかかる費用や時間のことを考えると、裁判をおこすことに消極的になってしまいます。
このような不便さを解消するために、民事訴訟法の改正によって、少額訴訟手続きが創設されました。
この手続きは、少ない経済的負担で、簡易・迅速に紛争を解決することをめざしたもので、請求額が60万円以下の金銭請求事件に適用されます。
この少額訴訟手続きを利用できるのは、同一の簡易裁判所において1人あたり年間10回までです。
少額訴訟手続きの進め方
少額訴訟手続きは、原則として一回の期日だけで審理が終わり、直ちに判決の言渡しがなされます。証拠調べは、即時に取り調べることのできる証拠に限定されます。
判決をする場合、被告の資力などを考慮して、分割払いや支払猶予の定めをすることもできます。少額訴訟の判決に対しては、控訴をすることはできません。不服のある当事者は、異議を申し立てて、少額訴訟手続きではない通常の手続きによる審理および裁判を求めることができるだけです。
原告は訴えを提起する際に、少額訴訟手続きでするか否かを選択します。仮に原告が少額訴訟手続きにより訴えを提起した場合でも、被告が通常の手続きですることを望む場合には、通常の手続きに移行させることもできます。