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権利者を保護する民事保全制度のしくみ

民事保全制度とは何か

訴訟は、一般に、訴えの提起から始まって判決の確定に至るまでに長い時間がかかりますから、その間に債務者の財産状態が悪化したり、問題となっている不動産が第三者に売却されてしまうなどの可能性があります。

 

そうなると、せっかく権利者が勝訴判決を得ても、結局、強制執行もできないといった事態が起こり得ます。こうした不合理を避け、権利者を暫定的に保護するための制度が、民事保全制度です。

 

 

 

仮差押えと仮処分

民事保全手続きには、仮差押えと仮処分があります。仮差押えは、金銭債権をもっている債権者が、債務者の財産の現状を維持して、将来の強制執行に備えるために行われます。

 

仮処分には、たとえば、不動産をめぐってトラブルが発生した場合に、その不動産の占有が第三者に移されたり、売却されてしまうことに対抗するため、その不動産の処分を禁正して現状を維持しておくために利用される仮処分など、いろいろな種類の仮処分かあります。

 

また、不適切な記事が掲載された雑誌がまもなく出版されそうな場合に、プライバシーや名誉をまもるために出版差止めを求めることがありますが、この場合にも仮処分が使われます。

 

民事保全手続きは、一刻を争うような緊急性の要請に応えるために、通常の訴訟手続きとはかなり異なった手続きとなっています。

 

また、この民事保全手続きは、本来の訴訟が将来行われることを前提にするものですから、本来の訴訟が提起されない場合には、保全命令(仮差押命令・仮処分命令)は取り消されてしまいます。

 

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民事保全手続きの進め方

民事保全手続きは、債権者(申立人)が裁判所に申し立てることによって開始されます。申立てをする裁判所は、本来の訴訟を管轄する裁判所か、対象となっている物の所在地を管轄する裁判所です。

 

 

申立書には、申立ての趣旨、保全すべき権利(被保全権利)、保全の必要性を記載します。申立ての趣旨は、どのような保全命令を求めるかを記載したものです。被保全権利とは、保全命令によってまもられる権利のことであり、保全の必要性とは、どうして保全命令が必要であるのかについての理由のことです。

 

被保全権利と保全の必要性は、厳密に証明することまでは要求されておらず、裁判官に一応確からしいと判断されればよいとされています。

 

民事保全手続きは、通常の訴訟とは違って、口頭弁論を経なくてもかまいません。民事保全手続きの審理においては、債権者から事情を聴くだけで、債務者からの事情聴取を省略してもよいのです。

 

なぜなら、民事保全手続きが行われていることが債務者に知れると、債務者が急いで財産の処分などをしてしまうおそれがあり、民事保全手続きをおこしたことがかえって逆効果になってしまうからです。

 

もっとも、仮処分のなかには債務者にとって打撃の大きなものがあり、これについては、原則として債務者にも言い分をいわせる機会を与えなければならないとされています。

 

保全命令を得るためには、ほとんどの場合、担保を提供することが必要となります。この担保の額はケースーバイーケースですが、被保全権利の1割から3割ぐらいが一応の目安です。

 

 

 

保全命令の実現のしかた

保全命令が得られた場合には、次にこれを執行することになります。たとえば、不動産に対する仮差押えの場合は、裁判所に申し立てて仮差押えの登記をしてもらうことになります。

 

こうして仮差押えの登記をしておけば、不動産が第三者に譲渡されてしまっても、債権者はこれを無視して、債務者を相手にして強制競売を申し立てることができるのです。

 

 

保全命令の執行は、債務者の妨害行為を防ぐため、債務者に保全命令を送達する前にも行うことができるとされています。

 

なお、保全命令は、緊急の必要があることから発せられるものですから、保全命令が債権者に送達された日から二週間を経過したときは執行できなくなるとされていますので、気をつけなければなりません。

 

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