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企業倒産における法的手続きの実際

まさか倒産することはないと思っていた企業までもが倒産するといった時代を迎えましたが、特に、大企業の倒産は社会的影響が大きく、連鎖倒産を招いたり、株式市場の変動要因となったりします。

 

ところで、会社が倒産するというのは、どういうことなのでしょうか。倒産と破産とは違うのでしょうか。少し整理してみましょう。

 

 

 

倒産整理手続きの種類

倒産とは、債務者が対外的に信用をなくし、債権者が債権の回収をすることができなくなった状態をいいます。

 

このような状態に陥った債務者のために、法律上、五種類の手続きが用意されています。すなわち、「破産」「特別清算」「会社更生」「和議」「会社整理」の五つです。

 

このうち、「破産」と「特別清算」は、残された財産をもって債務の弁済をすることが中心で、会社の再建をめざしませんから、清算型と呼ばれ、「会社更生」「和議」「会社整理」の三つは、事業の継続をはかり会社の再建をめざすもので、再建型と呼ばれます。

 

 

 

破産

破産というのは、多額の債務を抱えた債務者がその債務を完済できなくなった場合に、債務者の財産をもって、すべての債権者に対して平等に金銭的満足をはかる手続きのことです。

 

破産手続きは債権者から申し立てられる場合もありますが、多くの場合は、債務者が自らすすんで申し立てます。後者の場合を特に、自己破産と言います。

 

近時、消費者金融が発達し、カードの利用が普及したことなどが原因となって、一般消費者による自己破産の申立てが急増していますが、個人だけでなく、法人もみずからが申し出た場合には自己破産です。

 

 

さて、債権者または債務者から破産の申立てがなされると、裁判所は、債務者の負債や資産状況などを調査したうえで、破産の手続きを開始するかどうかを決定します。債務者が支払不能の状態にあると判定され、破産手続きを開始する場合には、破産宣告がなされます。

 

 

裁判所は、破産宣告と同時に、破産管財人を選任します。破産管財人は、裁判所の監督下で、債務者の財産を管理して、換価したり、債権を調査して配当するなどの職務を遂行します。破産管財人には通常、弁護士が就任します。

 

破産手続き中の破産者は、自分の財産に関する管理処分権を失ったり、一定の職務につくことができないなどの制限を受けます。また、破産者宛の郵便物は、郵便局から破産管財人に送られてしまいますから、破産者は自己宛の郵便物も直接受け取ることができないことになります。

 

破産手続きは、配当がひととおり終われば終結します。もっとも、配当をしてもまだ債務が残る場合には、破産者はなお、この残余債務について責任を負うことになります。この責任も免れるためには、免責手続きという別個の手続きを経なければなりません。

 

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特別清算

特別清算とは、清算中の株式会社について、債務超過の疑いや清算の遂行に著しい支障を来すような事情があるとき、債権者や清算人からの申立てによつて行われる手続きです。

 

 

特別清算開始決定があると清算人は特別清算人となり、裁判所の監督下で協定案を作成して債権者集会にかけます。協定が債権者集会の多数決で可決され、裁判所の許可を得ると効力を生じ、特別清算人が協定に従って弁済します。

 

 

特別清算は簡易・迅速な処理が可能であり、破産よりも高配当が期待できるという長所があります。

 

 

 

会社更生

会社の経営が窮地に追い込まれたときに、破産手続きを踏んで会社を潰さざるを得ない場合もありますが、再建の見込みがある場合には、会社の事業を維持しながら更生をはかる特別の手続きを利用することもできます。

 

これを会社更生手続きといい、株式会社だけがこれを利用することができます。

 

 

裁判所は申立てに基づき、更生手続き開始決定をして、更生管財人を選任します。更生手続き開始決定がなされると、それ以前に成立した債権は弁済を禁止され、更生手続きによるのでなければ満足を得ることができなくなります。

 

更生管財人は、会社の業務および財産の管理処分権を掌握し、会社再建に向けた更生計画案を作成します。

 

この更生計画案が関係人集会の審理および決議を経て、裁判所によって許可されると、更生管財人はこの更生計画を遂行することになります。会社更生は大企業の倒産処理に向いています。

 

 

 

和議

和議には、和議法による和議と破産法による和議とがあります。

 

和議法による和議開始の申立てをする際には、和議条件を申し出ます。和議条件とは、債権者に対する弁済猶予期間や債務免除の程度といった条件のことです。

 

 

この和議条件を見て、債権者は債権者集会において同意するか否かを決めます。総債権額の四分の三以上の債権者および債権者集会に出席した債権者の過半数の同意がなければ、和議条件は認められません。

 

この手続きは、債務者が事業を継続できるという長所がありますが、総債権額の四分三以上の債権者の同意が必要ですので、負債額と債権者の数が多い大規模倒産には向いていません。

 

 

破産法による和議は強制和議と呼ばれ、破産手続き中に破産者がいつでも申し出ることができます。強制和議が可決されるためには、和議法による和議と同じく、総債権額の四分の三以上の債権者および債権者集会に出席した債権者の過半数の同意が必要です。

 

債権者の同意が得られた場合、裁判所が許可するか否かの決定をします。許可された場合、破産手続きは終了します。

 

 

 

会社整理

会社整理は。支払い不能または債務超過に陥るおそれのある株式会社が利用できる手続きです。

 

この手続きは、裁判所の監督下で会社の再建をはかるもので、債務者は整理案を作成して、債権者の同意を得ます。

 

会社整理が結了すれば、裁判所は整理終結の決定をしますが、整理の見込みがなければ破産宣告をしなければなりません。

 

会社整理手続きは、会社更生手続きと異なり、従前の経営者がそのまま経営を継続することができるという長所があります。

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